【補聴器親子奮闘物語】
第二話「補聴器と共存する為に~充電できてなかった日~」
作:スタッフI
毎日の生活の中…補聴器を少しづつ着け始めた母
でも、一人で家にいる時は耳の違和感がまだあること、
誰にも着けないことを指摘されないこともあり、家の中では着けていない。
出かける時だけ着けているそんな状況…。
ある時、母の眼科への通院の為、私も付き添いで来院することに。
(以前は母だけで言っていたが聞こえないので付き添っております)
出かける時の一幕
私「先生の話を聞かなんから、お母さん補聴器着けてる?」
母「あら?どこ置いたかな?……あっ!あった!」
見つけたのは補聴器持ち出しケースの中に入っている補聴器…
私「え?充電出来てる?」
母「どうだろうか?あら充電器に入れたらランプが点滅してる!」
私「あー、ランプが赤になってるから充電ができてないよ!」
母「わぁ、しまったねぇ」
私「もうよか、そんまま病院行こう!間に合わないから」
充電忘れの為補聴器は電源が入らず、母をそのまま病院へ連れて行きました。
案の定ですが、病院では名前を呼ばれたのに気が付かない
先生の診察もお話が聞こえないので、隣で看護師さんが大きな声で復唱。
私も隣で聞いていて申し訳なく思います…。
補聴器を付けないと自分の声の大きさがコントロール出来ないことがあるようで
本人はつぶやいただけでも実際はしっかり声が出ております…
母「目薬の本数が多いので減らしてほしい」
(1日4回の目薬、1日3回の目薬、1日6回の目薬と確かに回数も本数も多い!)
先生「じゃあ今回から2本に減らしましょう!」
母「えっ!先生、今更目薬の本数を変えられたらわからなくなるから困ります」
先生「えーと…(苦笑い)」
私「すいません、説明しておくので大丈夫です」
声の大きさのせいでコミュニケーションがかみ合わず思わぬ方向にいくことがあるようです。
その後もお金の計算で呼ばれても聞こえない…。
薬局での説明も大声でしか聞こえない…。
トラブル続きでした…。
帰りの車の中で
私「やっぱり補聴器は着けておかないと、人の話も聞こえないし
物音、車の音も聞こえないから危ないよ。
お母さん買い物には着けて行ってるの?ちゃんと着けてね」
母「そうやね、それはそう・・・初めて聞いた」
(いやいや今まで何十回も話してるよ…)
母の物忘れがひどくなっており毎日の口癖が
「頭がぼーっとしとる…おかしくなりよっちゃなかろかぁ…」
おそらく私自身でも、こんなに聞こえない状況が続いているなら
脳が動かなくなって母と同じような状況になるはずです…。
この状況を打開する為にはいかにして母の生活の一部に
補聴器が入っていけるのかが重要だと私も思います。
ただ少し光が見えてきたのは、自宅にいる時に
テレビを見る際、補聴器を着けて内容を聞くようになってきたことが増えた事です。
さらに毎日の買い物での外出時にも補聴器をつけていく回数が増えました。
自主的には着けなかった以前に比べるととても大幅な進歩です。
まだまだ道のりは長く遠いですが、少しづつ一歩一歩進んでいければと思います。
(つづく)
(キクチめがね補聴器担当より)
Iさんのお母様にとっての意識が少しづつ変わっているのがわかり我々も嬉しく思います。
Iさんのようにご家族様のご心配が中々本人様に伝わらないことが多々あります。
購入店の認定補聴器技能者や病院の先生など、第三者の意見や指導が本人様に響く場合もございます。
ご家族の思いや、装用しないと実際に困る場面を本人様にしっかりとお伝えして
ゆっくり丁寧にご意識を変えていただけるよう我々も尽力致します。